※彼女と彼氏の結末の続き。設定は引き続きのため、
ロイに婚約者がいます。そして死ネタです。
愛してた。
…けどそれを君に伝えられなかった。
彼氏と上司の結末、その始まり
子供は男の地位と目指す野望を思い、己の恋心をきつくきつく胸にしまい込んだ。
そして男もまた子供の若さを思慮し、何よりも友との約束のために子供に
対する愛おしさをきつくきつく胸にしまい込んだ。
そうしてお互いを思うばかりで過ぎ去った月日は長く、また長く思った分
だけ、ふとした拍子に外れた枷は、決壊した川のような思いを再び縛る
ことなどできもせず人を狂わす。
なにはともあれ、人は後悔する生き物らしいということだ。
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妻になる女性との食事。しかし私の目には彼女はただの風景としか映って
おらず。今、私は器用にも頭と口を別々に動かしている。
彼女との会話を楽しんでいるような私。しかし頭の中は2週間前に戦場へ
向かった 部下のことでいっぱいだった。
「俺だけこんな中央で呑気に戦争を傍観してらんねぇよ。」
ここ半年、ドラクマとの小競り合いが活発化しており、
ついに3週間前、戦争が勃発した。将軍職である私は当然、中央指令部の
円卓を囲みながら対策を練ることしかできない。
エドワードも中佐の地位についているため、進んで戦争に参加する義務は
なかったのだ。そうでなくとも、私が根回をし彼を戦争へ向かわせなど
絶対にしない。 なのに、どうして、バカなんだ君は。
「マスタング中将、私は戦争へ向かいます。」
とある朝、普段となにも変わらない様子で執務室へとやってきた部下は
大総統のサインが書かれた証書をひらりと私に手渡す。
「………なんの真似だね、エルリック中佐、中佐とも地位のある君は戦争になど 行く必要はないだろう。」
眉を寄せ、目の前の部下をやや睨み気味に視線を向ける。そんな隠すこと
なく怒りを露にする私を見た彼はため息とともに言う。
「……貴方は、どうしようもないところで本当に馬鹿ですよね。」
「……エルリック中佐、仮にも私は上官だ。言葉を気を付けたま「どうして私を利用なさらないのですか。」」
鋭い金色の目が私を射ぬく。
「私が戦場で功績を上げればあなたは夢に近付ける。そんな単純なこと、考えることなくあなたはお分かりでしょう?」
「…馬鹿にするな。君の功績など関係なく私は自分の野望を叶えることなどたやすい。」
「それにしてはここ最近、中将の地位に落ち着いていますよね。」
「だから言葉を謹め……鋼のっ。」
そう、思わず馴染んだ呼び名で呼んでしまった。
しまった。と眉を寄せる私に彼はなにを思ったのか安心した顔でため息を
つく。
「…ついついボロがでるほど焦ってるんじゃんか、”大佐“」
「……!」
「……俺の最初で最後の我が儘だ。頼む、大佐の役にたたせてくれよ。」
窓からの日射しを受けてきらきらと彼の髪が輝いている。 いっそ神々しい
くらいの笑みを浮かべて彼は私に懇願した。
これは最初の我が儘なんかじゃないぞ、鋼の。 君の私への我が儘は君の軍
への入隊を含めて二度目だ。
結局、私は強い瞳を向ける彼に勝てず、彼の要望を受理し、
そうして彼は戦場へと向かい。
そうして彼は、 小さな箱に仕舞われて、むせ返るほどの花の香りとともに私の元へ帰還した。
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婚約者との食事中、プライベート中だというのに私のもとへ部下の一人が
顔を青ざめながら、エルリック中佐の帰還を伝えにくる。
それを聞き、私は食事など中断して軍へと急ぎ戻る。 急いだところで結果
はかわることなどないというのに。
部下が用意した車に乗り込み、司令部に着くまでの間も私の焦りは止まる
ことがなく、焦りで足が言うことを聞かない。
そして彼が待つ部屋へ着くまでの間、ずっと彼の顔が次々に現れては消え
私は何度もあの時、彼の願いを受け入れてしまったことを悔やんだ。
ようやく部屋に着き、帰還した彼を目の前にした私は呆然と立ちすくむ
しかなく。震える腕を伸ばし、そして震える手で人形のように白く陶器の
ように冷たい彼の滑らかな頬を何度も撫でることしかできなかった。
一言でいい。
君を愛してる。と伝えたかった。 伝えるべきだったのだ。
本当に、 人は……自らの行動を後悔する生き物なのだな。
綺麗な、二度と目を覚まさない君の寝顔を見てそう思った。
後悔した男の行動は…?