「……泣かないで、エドワード。」
「……泣いてなんかいねぇよ、ばか。」
「そうかい…?でもあの苗をアルフォンスに渡せてよかったな。」
「あぁ、あいつ医者になりたいって言ってたし、きっとあの苗がもつ効力
にも気付くだろうよ。」
「……あと3年後、か。治療薬が間に合うといいな.」
「大丈夫、あいつも錬金術師だ。いや、それ以前にアルフォンスなら絶対できる !」
「そうだね……彼ならこれから流行るであろう疫病の伝染を食い止められるだろうね。」
「あぁ。それを見届けたら次はどこへ行こうか、ロイ?」
「……君とならどこへでも。」
金色の髪を持つ青年は甘えるように漆黒の髪を持つ彼へと寄りかかり、
背中に大好きな彼の体温を感じて幸せそうな表情だ。対して彼も腕の中に
いる愛する人の、お日様のにおいがしそうな髪に顔を埋め、自分の香り
よりも不思議と少し甘く感じるにおいを抱きしめる。
そして、二人はお互いを離さないようにきつく、優しく手を繋いだ。
少年は己の長年の悲願を達成したが、二度の人体錬成への罪として時を
刻まない体となった。
そして男は少年の助力も得ながら野望を達成し、戦争で泣くものがいない
世界を実現させた。
己を縛るものがなくなった彼らが最後に望んだものは、
゛愛する人と共にいたい゛というささやかな願い。
きっとこれから先もある時代、ある世界のどこかの街で彼らは世界を
見続ける。
二人ならどんな時でもどこへでも行けるから――。